「あなたの腕に帰りたい」とサラ・オーウィグ

 やはり身内はわかるもの。記憶喪失のヒロインPART3

「あなたの腕に帰りたい」
 今年の夏は猛暑の予定だったはずですが、天候も今ひとつで涼しい毎日が続いています。それでも何となく夏バテ気味の私は、上野のパンダ赤ちゃんの映像で日々の疲れを癒しています(*名前募集に322,581件! その中に私が応募した名前《リァンリァン》~亮亮、ピカピカ、キラキラとかいう表現の時に使う~も入っています⇒勢いでネット応募しちゃいました♪)。
 今回の作品で記憶喪失のヒロインはいったん終了です。ヒーローは軍隊時代の友人(大富豪の息子)から、中南米で墜落した小型飛行機の捜索を依頼される。搭乗していたのは友人の双子の姉妹と、双子姉の娘2人だった。
 墜落する前の機内では双子の妹(=ヒロイン)が、姉の子供たちを甲斐甲斐しく世話していた。どうやら姉はボディーガードと浮気をしているらしく、子供たちにはそっぽを向いている。結婚しながらお互いに平気で浮気する、姉夫婦の関係は真面目な妹には不可解だった。
 すると、いきなり飛行機が嵐雲に囲まれ、爆発したような轟音が鳴り響いた。雷が飛行機に直撃し、そのまま墜落してしまったのだ。ヒロインが目を開けた時、コックピットはパイロット共に消えていた。姉をボディーガードに託し、ヒロインは命からがら子供たちと一緒に機内から脱出した。その直後、飛行機は爆発した。そして、後頭部に衝撃を受けたヒロインは気を失ってしまったのだった。
 ヒーローが現場に駆けつけると、そこにはパイロットと1人の女性の遺体が残っているだけだった。双子の片割れも、子供たちの姿はどこにもなかった。遺体を確認すると装飾品を一切身に着けていない。預かった写真を見ると派手な身なりの姉と、シンプルで地味な身なりの妹の姿があった。
 遺体では化粧や髪形などでは判断できず、装飾品の有無だけで判断するなら姉の方だろう。そう目星をつけたヒーローは双子姉と子供たちを探し始めた。そして、怪我を負いながらも子供たちとサバイバルを続けるヒロインを発見する。だが、彼女は記憶を失っていて自分が誰かわからなかった。子供たちも気持ちが不安定で、ヒロインを母と呼んだり叔母と呼んだりしている。 
 危険な状態から力を合わせて逃げ出した2人は、互いに魅かれあっていることを知る。しかし、ヒロインが既婚者である姉だとすれば、抱き始めた思いは捨て去らなければならない。もしも妹ならば、その先には幸せがあるかもしれない……
 奔放な小悪魔系あばずれ姉と臆病なウサギ系おとなしい妹って、実の兄が妹たちをそう評価するなんて凄い。身に着けていたペンダントで姉と思い込むヒーロー……あれ? どこかで読んだような~サンドラ・ブラウン的な展開に懐かしさを覚えました。
 飛行機墜落後のサバイバルはちょっとしかありません。でも、想像するだけでも怖いようなゲリラ攻撃を目の当たりにして、無事に保護される登場人物たち(プラス一人)。
 読者には最初から双子のどちらかわかっていますが、焦らし時間が必要なので~姉夫の訳の分からん行動や、ヒーローのジレンマなど、小ネタが用意されています(⇒双子姉の死があまり悲しそうに描かれていないのが、なんだかなぁ~ですね*これもハーレクインあるあるですよね)。
 サスペンス少な目でラブが多めに仕上がっている作品でした。

あなたの腕に帰りたい

あなたの腕に帰りたい

[著]サラ・オーウィグ [翻訳]星真由美

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「記憶喪失のシンデレラ」とローラ・アンソニー

 誰か気付いてあげて~! 記憶喪失のヒロインPART2

「記憶喪失のシンデレラ」
 祝・銅メダル:世界陸上男子400Mリレー!! 予選の様子を見て(⇒イギリスチームの調子が良かったので)、今回はちょっと無理かな~と思っていた私が馬鹿でした。やってくれましたね、男子リレー! ボルト選手の予期せぬ怪我がありましたが、運も実力のうちで結果が全てです(⇒日本チームだって脚に違和感があり本調子でない、ハキーム、ケンブリッジ両選手が走らなかったのですから、条件はどの国のチームも同じかと思います)。これからは男子400Mリレーメダル常連国として、選手の皆さんには益々頑張っていただきたいですね(*100Mの個人記録にも期待しています!)。
 今回の作品は記憶喪失のヒロインが登場しますが、何故か周囲の人々はヒロインの正体に気付かないという、なんとも間の抜けたお話です。
 法律事務所で秘書として働くヒロインは、奥手で男性と付き合ったこともなく夢見がちな女性だった。自分によく似た人気ハリウッド女優に憧れ、ハンサムな彼女の婚約者にも淡い気持ちを抱いていた。だが、二人の関係が破局してしまい、ヒロインは自分のことのように心を痛めている。
 ある日、ヒロインが工事現場の脇を通り過ぎようとしたところ、落下してきた板が直撃するという事故に遭ってしまう。救急車で病院に運び込まれるヒロインだが、怪我のせいで自分が誰かわからなくなっていた。所持品であるバッグが盗まれ、自分が何者か証明できる手立てもない。そこに、野次馬の一人がヒロインは有名なハリウッド女優だと声を上げた。
 元婚約者の事故の知らせを受けて、ヒーローは怒り狂っていた。自分を裏切った元婚約者が事故に遭い、記憶喪失になり助けを求めているというのだ。身勝手な元婚約者に振り回されたヒーローは、今回の記憶喪失も演技だと頭から信じていなかった。だが、ヒロインの担当医師から痛いところをつかれて、ヒロインの世話をする羽目になってしまった。
 一緒に暮らしていくうちに元婚約者とヒロインが真逆の性格だと気付くのですが、誰もそのことに疑問を持たないという不思議な展開でした。顔は瓜二つだけど、赤の他人なんだから、誰か一人でも気づけば良かったのに~逆に何で疑問に思わなかったのか、そちらの方が不思議でした(⇒ハリウッドスターは身近な存在ではないから、その他大勢がわからないのは仕方がない。けれど、せめて女優の浮気相手(*ごめんなさい、ネタバレです!)とか、ヒーロー友人とか、結婚を決めたヒーロー本人がわからないってねぇ……どんな関係だよってツッコみたくなりました)。
 物語を通して元婚約者として罵倒され続けるヒロイン。いくら記憶喪失でも凹んでしまいますよ、自分のことだと思い込んでいるからね。たとえ元婚約者の裏切りが許せなくてもヒーローは、もう少し優しい態度ができたのではないかと思えてなりませんでした。

記憶喪失のシンデレラ

記憶喪失のシンデレラ

[著]ローラ・アンソニー [翻訳]永幡みちこ

「緋色の記憶」とデブラ・コーアン

 気持ちの悪いヒロインに興ざめ。記憶喪失のヒロインPART1

「緋色の記憶」
 あらすじを読みサスペンス色が強い(=ラッキ~、楽しみ♪)という理由で借りた作品です。
 警察官だった父親が何者かに殺害されたショックで、ヒロインは父の同僚でもある警察官ヒーローとの婚約を一方的に解消した。父親と同じようにヒーローも殺されてしまうという、悪夢から逃れるための行為だった。
 そして、一年が経過した。ヒロインには新たな恋人もできて、穏やかで幸せな人生を過ごしていると実感していた。ところがある時、ヒロインは重要な事を思い出してしまった。
 父親が殺害された時、自分は寝室で眠っていたと思い込んでいた。だが、本当は殺害現場を目撃し、犯人の顔をはっきりと見ていたのだ。あまりの恐ろしさに一時的に記憶喪失になっていただけで、一年経って惨劇の記憶が蘇ってきたのだった。
 殺害事件は未だ解決しておらず、担当は元婚約者のヒーローだった。一方的に婚約を解消されたヒーローの心の傷は癒えておらず、ヒロインもヒーローとの再会には気まずさはあるものの、事件解決には互いの協力が必要だった。
 私は弱い女だから、刑事の妻なんか務まらない~!ってな感じのぶりっ子ヒロインに、翻弄される男気溢れたヒーロー(⇒我慢強くてヒロイン一筋のいい奴)。でも、そのヒロインが選んだ次の恋人は……
 ネタバレしちゃうから書けないけれど、万が一、深い関係になっていたらどうなっていたんだろうか!? (⇒本人は否定していたけれど、恋人だものキスくらいは日常茶飯事だったねぇ。「幾度もの季節を重ね」が似たような設定だったけれど、他の人に逃げる前に相手のどこに惚れたのか、ちゃんと考える必要があったのかも……結局、元さやなんだからね。)
 マジで気持ち悪い選択をしていたのに、ヒロインには反省の色が全く見られませんでした(⇒最後の辺りなんかヒーローに対して、上から目線で威張っていたし)。気持ちの悪さが後を引き、ハッピーエンドを素直に喜べなかった作品でした(⇒でも、サスペンスの方はそれなりに楽しめました)。

緋色の記憶

緋色の記憶

[著]デブラ・コーアン [翻訳]中野恵


*邦題がお洒落ですね。原題は「Dare to Remember」記憶に立ち向かうというニュアンスでしょうか!?

「緑の乙女に口づけを」とベティ・ニールズ

 ご訪問いただき、誠にありがとうございます。

「緑の乙女に口づけを」
 カウンターがいつの間にか20000を超えていました。ブログを始めてはや4年(*2013年8月3日スタートだったのね、すっかり忘れていたわ)、ご訪問いただいた皆様のお蔭です。
 記念すべき(⁉)今回は、ベティ・ニールズの作品です。働き者で心優しい看護師のヒロインは、ある夜勤の日に事故で運び込まれた幼い兄妹と知り会う。妹は軽傷だったが、兄の方は両足骨折の重傷だ。連絡を受け駆けつけたのは、父親らしきハンサムで優しそうな男性――実はこの兄妹の後見人で高名な麻酔医(=ヒーロー)だった。
 看護師と患者の後見人という関係だけで、何の接点もない2人。素敵な人だと心惹かれたところで、それ以上の仲にはなれないとヒロインは諦めていた。
 ところが、ヒロインはヒーローから思わぬ申し出を受ける。骨折した男の子の看護をするため、ヒーローの屋敷に住み込みで働かないかというのだ。申し分のない給金と可愛い子供の看護、何よりもヒーローのそばにいられることが、ヒロインには最大の魅力 だった。
 しかし、ヒーローの方はヒロインをあくまでも看護師としか見ていないようだ。素っ気ないヒーローの態度にヒロインはガッカリしながらも、快適な屋敷での生活を満喫しようと考えた。
 ヒロインはヒーローに一目惚れ、そしてヒーローも然りのようです。でも、ヒーローの態度はいつものベティ作品の通りに冷静です。冷静なのですが、ヒーローの思惑通りに物事は進みません。何故ならば、恋愛は一人じゃできないからねぇ(⇒常に白衣を着るよう強制し、ヒロインを女ではなく、看護師として見るよう涙ぐましい努力(⁉)をするヒーロー。でも、ヒロインが何を着ても、やっぱり好きな気持ちに蓋はできませんでした)。
 そんなヒーローの気持ちに気付かないヒロインは、やっぱり私は駄目なのねと悪い方へと物事を考えてしまいます。ライバルが登場しても、勝つ見込みはないと落ち込むし……ヒーローがもう少し柔軟だったら事が上手く進むのに、そこはベティ作品の定番パターンで最後の最後まで話を引っ張ります。
 思いの外ロマンティックな展開で、個人的には好みの作品でした(⇒ヒーローも中2病ではなかったしね。でも、作中にクリスマスを迎えるので、読む時期を間違えたかなぁと思いました)。

緑の乙女に口づけを

緑の乙女に口づけを

[著]ベティ・ニールズ [翻訳]麦田あかり


*『赤い薔薇とキス』の関連作とありますが、そうでもないような気がします(*主人公がヒーローの友人というだけで、特に物語に影響はありませんでした)。

「幸せへの扉」とジェニファー・テイラー

 高慢ヒロインが痛い。

「幸せへの扉」
 オレ様系傲慢ヒーローは数多くいるけれど、ワタクシ系高慢ヒロインは……たま~に登場しますね。今回はヒロインの思い込みが鼻に付いた作品です。
 破産寸前の父親を救うため、ヒロインはヒーローと形だけの結婚をした。公の場に出る時は仲の良い夫婦を演ずるも、四六時中仕事で忙しい夫とは別居状態だ。
 ところが、何の連絡もなく突然ヒーローが、ヒロイン兄の結婚式のため帰国する。それだけでも動揺するヒロインだが、兄からの告白で更に窮地に追い込まれる。
 ギャンブルにのめり込み、多額の借金を返済しなければならない――父と同様に兄までヒーローの世話になれないかと、ヒロインに打診してきたのだ。
 さっそく事情を説明し、ヒーローに援助を求めたヒロイン。ヒーローから快い返事がきたが、ある条件をつけられた。これからは本当の夫婦として生活し、子供を儲けること。
 予想していなかったヒーローの申し出に、ヒロインは衝撃を受けた。新婚初夜、ヒーローに迫られて、わが身を投げ出しそうになったヒロイン。夫と子供を捨て出ていった《ふしだらで奔放な母親の血》が自分に流れていることに気づき、恐れおののきヒーローと距離を置いていたのに……
 父親の負債を肩代わりして貰い、今度は兄の借金を返済して貰おうとしているヒロイン。それなのに、どうして上から目線で偉そうにヒーローに接するのか、不思議でなりませんでした。
 ヒーローは最初からヒロイン一筋で、ヒロイン父も了承済みです(⇒ゆえに娘との結婚を後押ししてくれました)。しかし、肝心のヒロインが被害者意識全開で、ヒーローを拒絶するから話が前に進まない。
 母親が浮気を繰り返す奔放な女性で、自分にもその血が流れているというのが、ヒロイン最大の恐怖のようだけれど(⇒ネタバレですが、裏事情ありです)……見ず知らずの夫となった男性とこれから愛し合うかも~というだけで、そうだと断定しちゃうヒロインの思い込みの激しさが、読んでいる私には恐怖でした。
 ヒーローがヒロインの気持ちを汲み取って、どうにか夫婦として暮らしていきたいと、涙ぐましい努力を重ねていきます(⇒勿論、我慢もいっぱいしていたようです)。それをワタクシ系高慢ヒロインがぶった切って、ヒーローの誠意を無にする――少しだけ身分違い的なことを指摘しているかなぁ~という場面があるのですが、階級の違いだと叩き上げのヒーローを見下しているように思えゲンナリしました。
 借金をしたヒロイン父親はヒーローを陰で応援し、ヒロイン兄は改心し自分で借金を返済することを決意。それなのに、ヒロインだけが最後まで頑固に持論を振りかざし、ヒーローを翻弄させている(⇒まるでヒーローが悪いような結末の迎え方だったもの)……読後、ヒーローにファイナルアンサーを突き付けたい気分になりましたよ(⇒こんなヒロインで本当にあなたは幸せになれると思う!?)。

幸せへの扉

幸せへの扉

[著]ジェニファー・テイラー [翻訳]岡聖子