「サンレモ、運命の街」とミシェル・リード

 麻央ちゃんは天使のような人だと思う(*女優:板谷由夏さんの悼む声より)。

「サンレモ、運命の街」
 まさかの訃報に心が痛いです。小林麻央さん、34歳。やりたいことも沢山あったでしょう、可愛い子供達の成長も見守りたい、愛する夫とも添い遂げたい……幸せがいっぱい詰まった人生の途中、独りぼっちで旅立たなければいけないとは、さぞかし無念だったと思います。テレビ画面を通して見る麻央さんの姿はいつもキラキラ輝いて、周囲を明るく照らす太陽のようでした。きっとこれからも皆の心の中に生き続け、輝いていくことでしょう。心からご冥福をお祈りいたします。
 今回は7月1日刊ハーレクイン文庫で復刻される作品です。6年前、ヒロインの姉はモデルで、イタリア人実業家のヒーローと恋仲になるも関係は続かなかった。その後、妊娠に気付いたヒロイン姉は中絶を迫るヒーローを無視し、女の子を出産する。
 やがてモデルに復帰した姉をサポートするため、ヒロインはナニーの仕事を辞め、姪の育児に専念してきた。しかし、悲劇が起こる。姉が事故でこの世を去り、ヒロインは姪と2人きりになってしまった。
 そして、何故か自分の子供を拒否したはずのヒーローが、突然娘を引き取りたいと連絡してきたのだ。その時の脅しのようなヒーローの言葉に怯えながら、この1年間は姪を連れてヒーローから逃げている状況だった。
 今、ヒロインと姪はヒーローの生まれ故郷イタリア・サンレモにいる。ヒーローがロンドンで取引があると知り、裏をかいたのだ。しかし、ある日の午後。ビーチからの帰りに思わぬ人物と出会ってしまうのだった。
 ヒーローとヒロイン姉との話が食い違い、シークレットベイビー物になってしまったこの作品。既にヒロイン姉は亡くなっているので、誰の言葉が真実なのかわからず仕舞いです(⇒多分、ヒーローの言い分があっているとは思いますが、その心の内は詳しく記されていないので、姉が嘘をついたとも断言できないような感じです。)。
 ヒーローとヒロインは互いに魅かれ合い、紆余曲折あって最後に結ばれます。ハッピーエンドですが、私には「噛ませ犬」的な姉の存在が気の毒でなりませんでした。
 これも《ハーレクインあるある》ですよね。主人公であるヒーローとヒロインが幸せならば、他の登場人物が粗末に扱われようが関係ないっていう設定や展開。でも、たとえ小説でもヒロイン姉を無下に扱うのは悲しいような……麻央さんの訃報もあって、余計にそう思えてしまいました(*命って大切だもの。あれあれ、みつをっぽいぞ)

サンレモ、運命の街

サンレモ、運命の街

[著]ミシェル・リード [翻訳]山ノ内文枝


*邦題がお洒落で素敵ですよね♪
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「大富豪の天使を抱いて」とキャスリン・ロス

 お前が言うか、その台詞。

「大富豪の天使を抱いて」
 今月13日、女優・野際陽子さんがお亡くなりになりました。以前から闘病中という情報が耳に入っていましたが、まさかという感じです。大好きだったドラマ「ずっとあなたが好きだった」と「トリック」でのキャラクターの違いには随分と驚かされました。81歳という年齢には見えなかった美貌に気品、いでたちの美しさには、女性として見習うべきところが多いです。心からご冥福をお祈りいたします。
 今回の作品は6月20日刊の〈ロマンス・タイムマシン〉と題された、過去の名作を復刻する企画だそうです。
 ヒロインは4歳になる娘を育てながら広告代理店で働くシングルマザー。ある日、娘のベビーシッターが遅刻し、とある企業の宣伝部長との約束に遅れてしまう。幸運にも代わりに社長と面会できることになったが、そこにいたのはかつて愛した男性で娘の父親であるヒーローだった。
 過去に愛し合いながらすれ違い、妊娠を告げぬまま別れた相手――小さな誤解が積み重なり、2人の間には大きな壁ができていた。
 私の手元にある作品と題名が違うので、すぐには気付きませんでした。以前は「決して後悔はしない」というタイトルでした(*原題は「No Regrets」)。
 仕事優先のヒーローの本心がつかめず、彼の元を涙ながらに去ったヒロイン。そして、ヒロインがついた嘘のため、生まれてきた娘に会うまで4年という月日がかかったヒーロー。
 シークレットベビー物にありがちな「どうして今まで俺に隠していたんだ?」という、圧をかけまくっていたヒーローが、最後に発した台詞があのタイトルでした(⇒そして、その行を読んで「お前が言うか、その台詞」と思わず呟いたのは私です)。
ヒーローは自分の元を去ったヒロインを探したって言うけれど、本当に探せなかったのか……何故かヒロインが苗字を変えていたので、難しかったのかもしれないけれど~そう思わせるためだけに、この設定にしたのかしら!? ヒロインが苗字を変える意味が今ひとつ理解できませんでした(⇒っていうか、苗字ってそんなに簡単に変えられるのかしら???)。
 あと、ロマンス小説には子供が登場する作品が数多くありますが、やたらと大人びた話し口調なのはいかがなものかと思いました。ヒロイン娘はまだ4歳になったばかりで「3匹のこぶた」が大好きという設定。その割に台詞は大人口調なのは~もしかしたら漢字のせいかもしれませんね(⇒子供の台詞の部分は平仮名にするって、無理なのかしら!? うちの子が4歳の頃はまだまだ意味不明の単語を発していましたよ)
*いつもご訪問いただき、ありがとうございます。日頃の感謝を言葉にしていなかった無礼をお許しくださいね。思わぬ反応や出会いもあり、毎回のブログ更新が楽しいです(⇒最近は忙しく週1になっています)。


大富豪の天使を抱いて

大富豪の天使を抱いて

[著]キャスリン・ロス [翻訳]中原もえ


*キャサリン・ロスといえば、映画「卒業」で有名なアメリカの女優さん。でも、この作品の作家さんはイギリス育ちのキャスリン・ロス。

「君がターゲット」とヘレン・ビアンチン

 男ってやつは……

「君がターゲット」
 最近の芸能スキャンダルは、薬と色事ばかりが続いています。色事については栃木のプリンスの買春騒動や、某俳優の未成年淫行疑惑(⇒はめられた感たっぷりで、華やかな世界の闇を見たような気がします。裏で未成年を食い物にする大人の影がありそうで、余計に腹立たしいです。若い女の子=金になるという図式を、根底からなくさないといけません!)、美人女優を娶りながらも浮気をする俳優夫……どうして男ってやつは己をコントロールできないのかと、呆れてしまいました。
 今回はヒーローがヒロインと結婚するまで、どれだけ己を抑え頑張ったかという作品です。3年前、駆け出しのモデルだった頃に熱烈な恋をしたヒロインは、レーシングドライバーと結婚する。ところが、数か月後に事故で夫が急逝し、幸せな生活が一変した。悲しみを紛らわすために仕事に精を出し、いつしかモデルとして世界的な成功を収めていたヒロイン。だが、もう2度とあんな辛い思いはしたくないと、恋愛に対しては臆病なままだった。
 そんなヒロインが仕事を終え、故郷であるオーストラリアに帰ってきた。次の大きなショーの前に休暇を楽しみ、リフレッシュするつもりだった。しかし、ある1人の男性との出会いで、ヒロインの心はかき乱されていく。
 初めてヒロインに会った瞬間に恋に落ちたヒーローは、あらゆる伝手を使ってヒロインに近づいていくのですが……途中まではストーカー並みのしつこさでした(⇒一途過ぎて、ちょっと怖かった)。
 実業家として成功を収めていて、しかも画家としての才能も発揮していたヒーロー(⇒そこまでの設定が、果たして必要だったのか謎です。金儲けばかりじゃなく、繊細な芸術家の一面もあるってアピールしたかったのかしら!?)は、ヒロインの友人夫妻(*「愛に怯えて」の主人公です。意地悪なヒーロー義妹も登場します)、ヒロイン父等と知り合いだったため、彼らを利用しまくります(⁉)。
 ヒロインは世界的に有名なスーパーモデルなのに、気さくで性格も良い(*常に感謝の気持ちを忘れず、ボランティアにも積極的に参加する心の広い女性です)。勿論、夢のような美人で、(モデルなので)スタイルも抜群!
 ヒーローは上記の通りの成功者でハンサム+ムキムキな完璧男性なので、同じような完璧なお相手が必要だったのかもしれません。
 でもね、箇条書きにして主人公たちの良い点をあげていくと、なんだかこの作品がとてもつまらないお話のように思えてきました。欠点がない完璧さんたちが、完璧な恋愛を目指すって面白味がないような……パッケージは洒落た入れ物だけど、中身は普通のお菓子だったって感じかしら!?
 ヒロイン元姑が癌で余命いくばくもないという話や、イタリア系のヒロインがイタリア人の元夫と出会ったイタリアに縁があるとか、ちょいちょい出てくる挿話が何も本筋と関連なく、素通りされていたことに違和感が残りました(⇒ヒーローはイタリア系でなく、ギリシア系だそうです)。

君がターゲット

君がターゲット

君がターゲット

[著]ヘレン・ビアンチン [翻訳]三好陽子

「殺意の試写状」とサンドラ・ブラウン

 どちらの展開がお好き?

「殺意の試写状」
 ミステリーには最後まで犯人がわからない通常パターンと、最初から犯人がわかっている「刑事コロンボ式(⇒古畑任三郎式と言った方がわかりやすいかな? えっ、どっちも古いって!?)」があります。今回のサンドラ作品はコロンボ式で、犯人がヒロインによって確定され、それを立証していくという展開です。
 白昼のホテルのエレベーターの中で、大富豪が殺された。犯人は逃走し行方知らずに。そして、この襲撃事件には黒幕がいるとされた――容疑者は事件現場に大富豪と一緒にいた、愛人といわれているヒロイン。しかし、ヒロインは真っ向から自分の関与を否定し、真犯人は大富豪の甥だと主張した。
 大富豪は甥とそりが合わず、自分の会社や遺産を甥に継がせることを望んでいなかった。だが、伯父の遺産を当てにしている甥は、伯父もその愛人も邪魔でしかなかった。とはいえ、直接自分が手を下せば、元も子もないとわかっている。だから、頭を使ったのだ。
 甥と事件の関連性が全くなく、しかも有能な刑事弁護士のヒーローまでも真犯人である甥の味方になりそうだった。焦ったヒロインはヒーローを誘惑し、甥の弁護に横やりを入れようとした。
 ところが、甥の異常さに気付いたヒーローは、自分の気持ちを考慮せずとも、ヒロインと共に真相を解明する道を選んだのだった。
 サイコパス的存在の甥が、映画の名場面を真似て殺人事件を起こします。その映画を見ていなくても状況説明があるので、「あぁ、そうなね」と納得できます。そのため、今まで読んできたサンドラ作品のような、ならではの個性が感じられませんでした。
 なので、個人的は物足りなかったかなぁ~というのが読後の感想です。ラブの部分もお互いにどこに惚れたのやらという感じ(⇒一目惚れっぽいけれど、ヒロインの行動がやり過ぎなので……)。
 最後にヒロインの秘密が明らかになるのですが、これまたロマンス小説あるあるです(〇〇といわれているけれど、実は~的な感じ)。
 最初から犯人がわかっているコロンボ式は、度肝を抜くような仕掛けがないと、やはりハラハラしないものなのですね。やっぱり最後まで犯人がわからない展開の方が、私は好きかもしれないです。

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「あなたに会えた奇跡」とヘレン・ブルックス

 トラウマ対決、ヒロインの勝ち。

「あなたに会えた奇跡」
 あぁ、またもやトラウマ抱えたヒロイン作品を読んでしまいました。今回もヒロインのダークな過去が暴かれていきます。
 公積算士(せきさんし *イギリス特有の建物や土地造成設計等の、都市建設事業と不動産事業にかかわる職種の中で、建築積算を専門におこなうby Wikipedia)のヒロインは、あるパーティで大成功を収めたホテル経営者ヒーローと出会う。
 過去の忌まわしい出来事のせいで男性に不信感を抱くヒロインは、初対面のヒーローの傲慢な態度に虫唾が走り、つい嫌味を含んだ反応を示してしまった。
 ところが、初対面での印象が悪かったにも関わらず、ヒーローはヒロインに興味を持ったらしく、名指しで仕事の依頼をしてきた。
 ハンサムで裕福で自信家なヒーローは、ヒロインがかつて愛した男性とよく似たタイプ――今でも過去を思い出すと、動揺し激しい吐き気が襲ってくる。それなのに、ヒーローに魅かれる気持ちが抑えきれず、ヒロインは必死になって抵抗するのだった。
 一方、一目でヒロインに魅かれたヒーローには、婚約者に裏切られた過去があった。しかし、その過去を忘れ去ることができるほど、ヒロインへの想いは強くなっていく。それなのに、一向に心を開かずヒーローを拒否し続けるのであった。
 ヒーローのトラウマなんか屁でもないような(⇒これを堂々と話す方が恥ずかしくなるくらい、ハーレクイン・ヒーローにはありがちな過去)、トラウマ抱えのヒロイン登場です。
 若い頃の恋愛の失敗だけだと思いきや、ヒロインの生い立ちにも色々あって……どんだけ不幸を背負いこんでるんだ!?ってな感じです(⇒可哀想だけど、痛い女にしか見えないんだもの)。
 ヘレン・ブルックスのヒロインはトラウマ抱えが多いようだけれど、今回の作品はピカイチかもしれません。惨めなヒロインは好きですが、痛いヒロインはつらいよ、寅ちゃ~ん!
 ですが、結末は落ち着いた展開だったので、穏やかな気持ちで読み終えることができました(⇒それが救いでした&ヒロイン叔母の明るいキャラクターもね♪)。

あなたに会えた奇跡

あなたに会えた奇跡

[著]ヘレン・ブルックス [翻訳]すなみ翔